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国内債券ファンドに今投資すべきか? [投資・資産運用]

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~国内債券に投資すべきか?~
あるマネー雑誌を読んで驚きました。
そこには、国内債券に投資する投資信託の成績がいい、資産の一部を国内債券ファンドに投資してみては、といった内容の記事が書かれていました。
単にパフォーマンスがいいので、ポートフォリオの一部に少し入れてはという内容でした。
とんでもない内容で、読むに堪えない記事だったので、今回は国内債券ファンドについて書きます。


~インカムゲインはマイナス~
基本的なことですが、債券のリターンは、利金からなるインカムゲインと、債券価格の値上がり益からなるキャピタルゲインに分類できます。
現状、日本国債の利回りはマイナス圏に落ち込んでおり、15年債でも最終利回りではマイナス利回りです。利金(クーポン)自体は支払われますが、債券価格が額面100円を超えているため、満期で100円で償還されると、償還差損が発生します。その償還差損が大きすぎ、満期までに受け取る利金総額を超えてしまっているため、最終利回りはマイナス=インカムゲインはマイナス、つまり投資すると損をする状況です。

例) 満期まで5年、クーポン年利1%の債券を110円で購入し、額面100円で償還 
  => 受け取るクーポン(利金)総額: 額面100円 × 1% × 5年 = 5円・①
     償還差損: 償還価格 額面100円 - 購入価格110円 = ▲10円・②
       結果 ① + ② = 5円 + ▲10円 =▲5円


~キャピタルゲインだけが頼みの綱~
では、キャピタルゲインはいかがでしょうか?日銀のマイナス金利導入、世界的な景気先行き不安から債券市場の金利動向は低下傾向が続いています。金利の低下は、債券価格の上昇を意味しますので、キャピタルゲインが発生しているのです。
現状は、マイナスリターンのインカムゲインと、プラスリターンのキャピタルゲインのせめぎ合いで、キャピタルゲインが勝っているため、リターンが堅調となっているわけです。キャピタルゲインだけが、頼みの綱、国内債券ファンドの生命線ということです。


~今、国内債券ファンドへ投資するべきか~
はっきり言って、”No”です。
国内債券ファンドは、もともと預金代替の商品です。少しのボラティリティを受け入れながら、受け取る利金の積み上げで、預金より高めのリターンを得ることが目的の商品ですが、日銀のマイナス金利導入後は、債券価格上昇によるキャピタルゲイン狙いのみの商品となってしまいました。

勿論、日銀がマイナス金利の幅を拡大すれば、金利低下によるキャピタルゲインをさらに得ることができるかもしれません。しかし一方で、取引が薄い国債市場は値動きが大きくなりやすく、場合によっては、金利が急騰し、債券価格が急落するリスクがあります。

また現在の日本の金融市場では、金利が急騰した場合は、債券だけでなく、株価も下落する可能性が高いと考えられます。したがって、国内の株式と債券の組み合わせによる分散投資は有効とはいえず、分散ポートフォリオの一部として、国内債券ファンドを持つ意味もなくなっています。

つまり国内債券ファンドは、安定したリターンを狙うファンドとしてダメ、分散投資の一部としてもダメで、日銀がマイナス金利をさらに進め、金利が低下することに賭ける投資家のための商品になっています。

国内債券ファンドの中には、債券先物を使ったり、超長期債へ投資したり、アクティブ運用によりリターンを狙うファンドも存在しますが、それらは絶対リターン追及のファンドであり、安定したリターンを狙う本来の国内債券ファンドとはいえないと、私は考えています。


~安定したリターンを狙うには、どうすればいいか?~
国内債券ファンドが安定したリターンを生み出せなければ、どうすればいいでしょうか。
考えられるのは、為替ヘッジ付きの外債ファンドへ投資するのがセオリーですが、信託報酬に加え、ヘッジコストが高止まりしている状況では、一定程度リスクを取らなければ、利回りが残りません。

残念ですが、かつての国内債券ファンドのような安定したリターンを得られる商品はもはや存在せず、一定のリスクを覚悟した投資しかできない状況です。

(※ヘッジコスト: 例えば、ドル円ならば、以前は日米二国間の短期金利差=ヘッジコストでしたが、現在はそれを大幅に超える水準になっております。)

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