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インデックスファンドにどのように投資するべきか?4(続編) [投資・資産運用]

Investor Directions
http://investor-directions.jimdo.com/


前回、私のアセットアロケーションの策定プロセスについて、以下のとおり、書きました。

(前提条件)
・景気動向と「安全資産」、「リスク性資産」の関係
  景気好調=> 「安全資産」を少なめに、「リスク性資産」を多めにする。
  景気低迷=> 「安全資産」を多めに、「リスク性資産」を少なめにする。

・多資産ポートフォリオの「安全資産」、「リスク性資産」の配分目安
ポートフォリオのリスク水準(標準偏差)の目標:年率5%
安全資産:リスク性資産 = 60%:40% を基本配分とする。

(アセットアロケーションの策定プロセス)
1.上記60%:40%の基本配分をベースに、景気好調~景気低迷の度合いを考慮して配分を調整、さらに景気動向以外の要素も加味し、最終的な配分目安を最終決定します。
2.さらに、この「安全資産」:「リスク性資産」の配分目安をベースに、個別資産のアセットアロケーションを決めていきます。

ここまでが前回のおさらいです。
ここからのアロケーション策定ですが、基本は年金運用の手法を利用します。
では、年金運用の手法とは何か? まずここから説明します。


年金運用の手法は、「投資対象の基本4資産(以下のとおり)の期待リターン、実績リスク、相関係数を使って、最小分散のポートフォリオ」を作ります。 具体的に書いていきます。

【投資対象基本4資産】
国内株式、国内債券、海外株式(為替ヘッジ無)、海外債券(為替ヘッジ無)

【期待リターン】
4資産それぞれの期待される年率リターンのことです。ビルディングブロック形式などの方法で計算します。例えば、名目経済成長率(=実質経済成長率+インフレ率)の予想値に、それぞれの資産のリスクプレミアムを足すなどの方法で計算します。何だか複雑でよくわからないと思われるかもしれませんが、深く理解する必要はありませんので、ここで詳しい説明はしません。
通常、年金運用で使用する期待リターンは非常に適当だからです。先のことはわからないが、目標リターンを達成できる最適な資産配分を決定するために、それぞれの資産でこれぐらいのリターンが年率で上げられるという予想がないと計算できないから、適当な理屈をつけて、適当にそれぞれの資産の予想リターンを作っているだけです。まったく当てにはなりません。

【実績リスク】
それぞれの資産の過去の実績の標準偏差(年率)のことです。期待リターンは、適当なもので、まったく当てにはなりませんが、実績リスクはある程度は当てになるとされています。私も実績リスクは当てにできると考えています。過去の実績リスクを、どうして将来のための資産配分を決めるときに使用できるかと言いますと、それぞれの資産の投資家が耐えられるリスク水準は時が経ってもそれほど変わらないと考えられるからです。例えば、国内債券の投資家にいくらまでの損失なら耐えられるかと質問するときに、0%~-5%まで耐えられる、-5%~-10%まで耐えられるという人の割合はヒストリカルに見て、そんなに変動しないと考えられます。

【相関係数】
基本4資産のそれぞれの相関関係のことで、過去の実績リターンを使って相関係数を計算します。たとえば、国内株式と国内債券は、マイナス相関、国内株式と海外株式はプラス相関(為替変動によって異なってきますが。。。)という関係が想定されます。これも実績リスクと同様に、ヒストリカルに見て、それほど関係が変わるものではないと考えられています。


年金運用では、上記の期待リターン、実績リスク、相関係数を使い、目標リターンを達成でき、且つポートフォリオ全体の「リターン/リスク」の数値をできるだけ最大化できる最適な資産配分を計算します(リスクは許容できる範囲内に収めます)。
言葉だけの説明では理解しにくいと思いますが、エクセルを使用すれば、簡単に計算してアセットアロケーションを策定できます。ここでは、これ以上詳しく書きません。詳しく知りたい方は、専門書を読んで下さい。


私のやり方は上記の年金運用の方法を利用はしますが、少し異なります。
市場をいくつかの局面にパターン化し、それぞれの期間の各資産のリターンデータから、実績リターン、実績リスク、相関係数を計算します。そして、それぞれのパターン毎に、各資産の価格の動き方(リターンの出方、相関関係)とリスク水準を導出し、パターン毎の最適な資産配分ポートフォリオを策定します。

違いは、まず年金運用では局面毎にデータを分けて計算はしませんが、私の方法では、パターン毎にデータを計算します。なぜそうするかと言うと、局面毎に各資産の動きは異なるからです。
また使用する期待リターンは、年金運用では、予想値を無理矢理作りますが、私の方法では実績リターンを使います。上でも書きましたが、リターンの予想など無意味で、信じられるのは、実績リスクと相関係数だけだと考えるからです。


私のアセットアロケーション策定方法をもう少しわかりやすく言うと、市場の局面パターン毎に、各資産の相関関係とリスクを使って、組み合わせポートフォリオ全体のリスクが目標値(年率5%)までに収まるように計算するということです。その際、リターン自体は成り行き任せにするということです。
これでもまだ難しいかもしれませんが。。。

理解していただきたいのは、従来の年金運用の方法は、局面パターン毎に各資産の動きや相関関係が異なることを考慮せず、一定期間を通じて同じ資産配分で運用しようとしますが、そこに無理があるということです。

もうひとつ理解していただきたいのは、以前のブログ「マルチアセット運用で行こう!」に書きましたが、従来の年金運用は、SAA(戦略的資産配分)という考え方に基づき、ポートフォリオの資産配分は一定のままだが、リスク水準は局面毎に激しく変動する方法で運用します。それは、目標リターンに主眼を置き、それを達成しようとするからです。
一方、私も行っているマルチアセット運用では、ポートフォリオの資産配分は変動させますが、リスク水準は目標水準の範囲に極力抑えます。リスクを目標範囲に抑制することに主眼を置くからです。

「固定するのが、ポートフォリオの資産配分か、リスク水準か」、「主眼を置くのが目標リターンの達成か、リスクの抑制か」という違いが、年金運用と私もおこなうマルチアセット運用の「資産配分の策定方法の違い」となっているということです。
いわば、思想の違いです。

長くなりましたので、今回はここまで。
次回は、投資をおこなうにあたり、「実際、何に投資するか」、より実践的な話を書きます。


関連サイト”Investor Directions”もご覧下さい。

Investor Directions
http://investor-directions.jimdo.com/



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