資産配分のコントロール [投資・資産運用]
Investor Directions
http://investor-directions.jimdo.com/
前回のコラム「マルチアセット運用で行こう！」からだいぶ時間が経ってしまいましたので、おさらいをしつつ、今回のコラムを書こうと思います。
リーマンショック前までは、長期で資産運用をする場合は、固定された資産配分をひたすら守り、運用することが正しいとされ、年金を筆頭にその方法で運用されてきました。しかし欧米では、リーマンショックを受け、この運用手法はダメだという考え方が広がりました。
もともとこの運用手法は、いろいろな資産を、相関を考慮し、最も低いリスク（標準偏差）を実現する配分で組み合わせれば、目標リターンを実現できる最良なポートフォリオができるというもの（Strategic Asset Allocation, 通称SAAと言います。)でしたが、リーマンショックの発生時には、本来マイナス相関になるはずの資産もプラスの相関となり、同じ下落方向に向かって、ほとんどの資産が下落してしまいました。結果、資産配分を固定し続けたのでは、ポートフォリオのリスク（標準偏差）はあるときは高く、あるときは低くなってしまい、リスクの抑制も、安定したリターンも期待できなくなってしまうという考え方が広まり、この運用手法（SAA)は、欧米では支持をどんどん失いつつあります。
そこで登場したのが、マルチアセット運用です。SAAでは、資産配分を極力一定に保とうとしますが、マルチアセット運用では、固定する、いや固定を目指すのがポートフォリオのリスク（標準偏差）であるところが異なります。
どんな市場環境になろうとも、ポートフォリオのリスク（標準偏差）水準を目標水準に極力留めようとするわけで、市場環境に応じて、資産配分を変更していくことになります。
では、資産配分をどうコントロールすればいいでしょうか。
ここでは、米国市場で資産運用を行うとし、投資対象は米国株式と米国国債とした簡単なケースを考察します。（米国株式：S&P500指数、米国国債：米国10年国債）
通常、株式と債券の動きは以下のとおりになります。
○ 株式 ： 景気がいい時に上昇、景気が悪い時に下落
○ 債券 ： 景気が悪い時に上昇、景気がいい時に下落
（※もちろん市場動向は景気だけで決まるものではありませんが、今回はわかりやすく説明するため簡略化します。）
景気がいい時、株価は上昇、国債利回りも上昇（国債価格は下落）、逆に景気が悪い時、株価は下落、国債利回りも低下（国債価格は上昇）しているということです。
つまり、景気好調の期間は「株式のリターンが好調、国債のリターンが低迷」、景気低迷の期間は「株式のリターンが低迷、国債のリターンが好調」という傾向が出ているわけです。
それでは、この傾向を考慮し、米国株式と米国国債の資産配分を、例えば「景気好調時は、75％：25％」、「景気低迷時は、25％：75％」にすると、どうなるでしょうか。
その結果は以下のようになります。
S&P500指数 投資収益率（年率） 5.70％、 標準偏差（年率） 20.41％
米国国債指数 投資収益率（年率） 4.38％、 標準偏差（年率） 4.44％
資産配分コントロール 投資収益率（年率） 13.10％、 標準偏差（年率） 9.39％
※データ：2005年1月～2014年11月、米国株式はS&P500指数（米ドル）、米国国債はシティグループ米国国債指数（米ドル）
米国株式だけに投資する、あるいは米国国債だけに投資するときと比べ、資産配分のコントロールは圧倒的に高いリターンとなります。リスク（標準偏差）も米国国債よりは高いものの、米国株式よりずっと低くなります。またリーマンショック時のような暴落局面を上手くかわせます。
このことからわかるように、資産配分を適切にコントロールできれば、リスクを抑制しながら、効率的にリターンを得ることができるのです。
上記は、景気と株式、債券の関係性から簡易的にマルチアセット運用の資産配分を作ったケースですが、実際の運用では、景気だけで資産配分は決定できず、もっと複雑な判断が必要になります。資産配分のコントロールは、マルチアセット運用の命であり、非常に難しいものなのです。
このマルチアセット運用手法の資産配分を当サイトのリンク先、ウェブサイト”Investor Directions”では無料で公開します。この資産配分で、ノーロード（販売手数料ゼロ）のインデックスファンドを組み合わせて投資すれば、本格的なマルチアセット運用が低コストでできるわけです。
ぜひ当サイトを皆様の資産運用の参考にして下さい。
ぜひ当サイトのリンク先である、”Investor Directions”をご覧下さい。
http://investor-directions.jimdo.com/
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前回のコラム「マルチアセット運用で行こう！」からだいぶ時間が経ってしまいましたので、おさらいをしつつ、今回のコラムを書こうと思います。
リーマンショック前までは、長期で資産運用をする場合は、固定された資産配分をひたすら守り、運用することが正しいとされ、年金を筆頭にその方法で運用されてきました。しかし欧米では、リーマンショックを受け、この運用手法はダメだという考え方が広がりました。
もともとこの運用手法は、いろいろな資産を、相関を考慮し、最も低いリスク（標準偏差）を実現する配分で組み合わせれば、目標リターンを実現できる最良なポートフォリオができるというもの（Strategic Asset Allocation, 通称SAAと言います。)でしたが、リーマンショックの発生時には、本来マイナス相関になるはずの資産もプラスの相関となり、同じ下落方向に向かって、ほとんどの資産が下落してしまいました。結果、資産配分を固定し続けたのでは、ポートフォリオのリスク（標準偏差）はあるときは高く、あるときは低くなってしまい、リスクの抑制も、安定したリターンも期待できなくなってしまうという考え方が広まり、この運用手法（SAA)は、欧米では支持をどんどん失いつつあります。
そこで登場したのが、マルチアセット運用です。SAAでは、資産配分を極力一定に保とうとしますが、マルチアセット運用では、固定する、いや固定を目指すのがポートフォリオのリスク（標準偏差）であるところが異なります。
どんな市場環境になろうとも、ポートフォリオのリスク（標準偏差）水準を目標水準に極力留めようとするわけで、市場環境に応じて、資産配分を変更していくことになります。
では、資産配分をどうコントロールすればいいでしょうか。
ここでは、米国市場で資産運用を行うとし、投資対象は米国株式と米国国債とした簡単なケースを考察します。（米国株式：S&P500指数、米国国債：米国10年国債）
通常、株式と債券の動きは以下のとおりになります。
○ 株式 ： 景気がいい時に上昇、景気が悪い時に下落
○ 債券 ： 景気が悪い時に上昇、景気がいい時に下落
（※もちろん市場動向は景気だけで決まるものではありませんが、今回はわかりやすく説明するため簡略化します。）
景気がいい時、株価は上昇、国債利回りも上昇（国債価格は下落）、逆に景気が悪い時、株価は下落、国債利回りも低下（国債価格は上昇）しているということです。
つまり、景気好調の期間は「株式のリターンが好調、国債のリターンが低迷」、景気低迷の期間は「株式のリターンが低迷、国債のリターンが好調」という傾向が出ているわけです。
それでは、この傾向を考慮し、米国株式と米国国債の資産配分を、例えば「景気好調時は、75％：25％」、「景気低迷時は、25％：75％」にすると、どうなるでしょうか。
その結果は以下のようになります。
S&P500指数 投資収益率（年率） 5.70％、 標準偏差（年率） 20.41％
米国国債指数 投資収益率（年率） 4.38％、 標準偏差（年率） 4.44％
資産配分コントロール 投資収益率（年率） 13.10％、 標準偏差（年率） 9.39％
※データ：2005年1月～2014年11月、米国株式はS&P500指数（米ドル）、米国国債はシティグループ米国国債指数（米ドル）
米国株式だけに投資する、あるいは米国国債だけに投資するときと比べ、資産配分のコントロールは圧倒的に高いリターンとなります。リスク（標準偏差）も米国国債よりは高いものの、米国株式よりずっと低くなります。またリーマンショック時のような暴落局面を上手くかわせます。
このことからわかるように、資産配分を適切にコントロールできれば、リスクを抑制しながら、効率的にリターンを得ることができるのです。
上記は、景気と株式、債券の関係性から簡易的にマルチアセット運用の資産配分を作ったケースですが、実際の運用では、景気だけで資産配分は決定できず、もっと複雑な判断が必要になります。資産配分のコントロールは、マルチアセット運用の命であり、非常に難しいものなのです。
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